富久家の麻雀部屋には、多くの友人たちが訪れた。邦彦は基本的に信介を大人として扱っていたから、信介が麻雀を初めギャンブルをやることについては文句をいうどころか、積極的に引き込んでさえいるのは、先述した通りである。徹夜で麻雀をやることは確かに健康的でないことはわかりきったことではあるが、そういう親密な付き合いを通じて、生涯にわたって付き合えるような友だちができればいいのではないかと、邦彦は密かに考えていた。食事の世話をするのは節子だった。だが、信介は節子が顔を出すと怒った。そういう年ごろだといってしまえばそれまでのことであるが、節子は基本的には家で麻雀をやることに邦彦のようには賛成していなかったから、それを察知して反発していたのかもしれない。感も妙に鋭かった。だが、諸手を上げて賛成はしないまでも、節子はおにぎりを作って、それを差し入れたりした。

勝負師


信介の麻雀の打ち方は、意外に堅実だった。
「学校で麻雀はだめということになってるんですけど、みんな結構休み時間とかにやるんですよ。

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