だが、サッカーには詳しかったが、本人も節子に「ラグービーはわからない」と話していたくらいラグビーのことは最後まで知らなかった。だが、そんなことは意に介さない仲間たちだった。
「あいつはラグビーのことはあんまりわかっていなかったから、ぼくが『こうだよ』って教えて、あいつは『そんなものかな』と思っているという感じです。あいつはボールを持つとハンドオフのことばっか考えてるんですよ。ラインがすぐそばにあるのに、そっちの方にステップ切って、ガーッとやって、結局外に出たりするから、『何やってんだよ』ってみんなにいわれたりして」(石津顕太郎)
かなりの無手勝流だが、試合ともなれば体力と馬力にものをいわせて相手を引きずってでも、がむしゃらに前に進もうとした。
「富久は試合中、声を出して周りを引っ張るという感じじゃなかった。とにかく自分で突っ込んで、相手をとにかく負かしたいというか、そんな感じ」(中村亮介)