世の中にお前ほど自由に、かつ自由の中でも自分をコントロールして生きた奴はいないだろう。そんなお前はオレらの誇りだし、オレらの人生の中で絶対忘れられない存在になる。
 次の日会うのが当たり前だった学校帰りの横浜駅での別れのように、『じゃあな、富久』。本当にありがとう。」(麻布高校二年 中村亮介)

 「富久信介君は今から一年くらい前にラグビー部に入部してきました。ポジションはフランカーでした。得意プレーのハンドオフを使って、彼が走るたびに、タックルに来た敵は『ペチッ』『ペチッ』という音がして、タックルをすかし、必ずゲインしました。また、敵を二、三人引きずりながらも何mも走ったりするような、強い奴でした。『勝つ』という気迫も他の奴らとは違い、とても頼りがいのあるプレーヤーでした。ラグビーの試合観戦も、皆が勉強して来ない中、期末前日とかに国立に見に行ったりしました。近頃はボクサーのくせに何故かラーメンを極めるとか言って、猛烈にラーメン店をまわりまくっていました。奴が言うには三ヶ月で七十軒まわったとのことでした。

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