足は速くても、学校の校舎の同じ階をずっとグルグル回らされるんですよ。一周百八十メートルぐらいなんですけど、ぜんぜん面白くなくて、飽きちゃうんです」(元サッカー部 服部曉文)

鮮やかなシュート


麻布ではほとんどの運動部が生徒たちの手で自主的に運営されている。まず学年ごとにキャプテンが決められ(学年キャプテン)、中学校一年のときにキャプテンになったものが、よほどの不都合がない限り高校二年まで続けて務め、高校二年のキャプテンが自動的に部長となる。練習はそれぞれのキャプテンを中心に、おおむね学年単位で行われる。全員が集まるミーティングはあるものの、練習メニュー、試合に出る選手、作戦、対外試合などの最終決定権はキャプテンが握っている。顧問としての教師はもちろんいる。が、練習方法、試合などに口出しすることはほとんどない。試合のときの引率以外、生徒たちがすべてを計画し、実行していくのである。しかし、スポーツでチームなり、個人なりが強くなろうとすれば優れたコーチが必要なことは世の例を見れば明らかだ。麻布では生徒たちが要求すれば指導者を招聘する余地はあるのかもしれないが、

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