パッと蹴ったら、富久もそこをちゃんと走っていて、それで点取ったりした。あいつは試合が終わったときに、『マジにすごかった』といってくれて、それでおれも『ほんとすごかったな』って。結構そういうこと、練習中とかも何回かあった。だから、不思議な感じ。センターリングとかも、あいつが、『おれのこの辺に上げろよ』とか、『こういうことしてくれ』とかいうところにボールを蹴ると、ちゃんといて。あいつからもよく、『お前のセンターリングはほんとすごい』とかいわれまくって。それが結構自信とかになって、お互いすごく楽しかったんですけど。それも中二の終わりぐらいまでで」(村井隼)
エースストライカー
信介は学年では自他ともに認めるエースストライカーだった。麻布に入ったときの走力テストで、五十メートル六秒二を出していた。誰もが信介のところにボールを出せばゴールしてくれると思っていた。信介自身も試合に負けていたりすると、自分にボールを回せとさかんに要求する。それは小学生のときと何ら変わることがなかった。