信介はやりたい放題やって、上級生にパンチを見舞ったりした。
「自分で、『先輩にパンチを入れちゃってやばいよ』とかいってました。『一応、むかつくからよー』っていってましたけど、結構仕返しを怖がってました。なかったらしいですけど、まずいじゃないですか、先輩ですから。棒倒しはぶつかり合いがすごいんで、たまにケンカとかもあるんです、『このヤロー』ということになって。でも、富久らしいです」(反田篤志)

「高二のときはひたすら相手をなぐりまくってた。相手を押すのはいいけど、殴っちゃ駄目というルールの穴をついて、押す寸前に手を握るとかして、殴っていたような。先輩とかも殴った」(境野翔)

 麻布の運動会は、騎馬戦、棒倒しに代表されるようにかなり激しい。救急車が出ることもしばしばだという。信介は運動会で日ごろの鬱憤を晴らすかのように暴れまわった。殴られたほうは、お気の毒としかいいようがないが。

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