高一のときの騎馬戦はある意味ではもっと壮絶だった。信介はこのとき初めて肩の脱臼を経験した。だが、それでもかまわずに出た。
「おれが中三で、富久さんが高一のときの運動会では同じチームでした。で、身体がでかいというので富久さんの騎馬の前に駆り出された。麻布では下級生が引き抜かれて、上級生の騎馬戦でやらされることがあるんです。で、富久さんはやたら強くて。でも、二回戦のとき一騎ぐらい倒した後に、上から苦しんでる声が聞こえてきたので、降ろしてみると、肩が変な方向に向いている。脱臼してたんです。それで肩をはめたんですが、当然のごとく次は出ないと思ったんですけど、『出る』とか富久さんはいって、次も出たんですよ、二、三分後に。でも肩にテーピングしているから、すぐそこをやられて負けましたけど」(元ラグビー部後輩 外山千加良)
肩の脱臼は癖になった。それ以降、肩をぐるぐるにテーピングして、運動会やラグビーの試合に出るようになる。ボクシングの試合でも三回脱臼し、棄権負けを喫している。
それはさておき、高校からは騎馬戦に加えて棒倒しがある。