教科書とかも持ってるのかもしれないけど、学校に持って来たの見たことない。机の中には何も入ってないですし、カバンに入っているものは運動の用具と弁当ぐらいですよ、多分。で、試験前に大量に他人のノートをコピーしにコンビニに行ってました。ノートは勉強しているやつが回してくれます、富久みたいなやつにノートを貸すのを渋るやつはいないと思いますよ。いい点を取ろうとか、そういうのじゃなくて、赤点を逃れるという純粋な理由からなんで。ぼくも取ってる授業とかのを、借りてくれよみたいな感じで、彼に頼んだことがあります」(渡慶次道隆)

それでも頭はいい?


 麻布生の大半がそうなのだろうが、小学校のときに真剣に勉強してかなりの成績を上げた経験のある信介は、そのころの自信家である自分を失ってはいなかった。というより、終生自信家だった。勉強すればできるということはたびたび口にした。周りの友人たちも、信介の頭のよさは認めていた。武神一雄も温かい目で見ていた。
「そんな熱心に学業に専念することがなかったというのは、確かです。

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