試合中にエキサイトして、大きな声を出してファイトをむき出しにするのはごくあたりまえのことである。とはいえ、信介は自分や味方を鼓舞するためだけではなく、相手に対して怒声を浴びせることがしばしばだった。

合宿で麻雀


 サッカーの合宿で殴打事件を起こした信介は、ラグビー部の合宿でも麻雀で事件を起こした。いくら部屋が見つからず、防音もチェックしたとはいえ、学校で禁止されている麻雀を顧問のいる隣の部屋でやっていて見つかったというのだから、そのうつけぶりにはあきれるを通り越して、賞賛してやりたいくらいくらいだ。もちろん冗談だが。
 七月三十一日、深夜。例のノストラダムスの「恐怖の大王」が降りてくると予言された日も終わろうとしていた。何もなかったなと話しながら、麻雀を打っている部屋に顧問が入ってきた。何もないでころではない。麻雀パイはすぐに没収。顧問は「ラグビーの練習を真面目にやっていれば、麻雀なんかできるはずがない(眠くなるはずだ)。反省しろ」と説教し、二時間の正座を課した。当然の処置である。ところが、正座が終わってみんなで反省会、となるところが、頭に血が上っていた麻雀野郎たちは、

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