他の理由で顧問にわだかまりを抱いていたこともあって、一人を除いて、「ラグビー部ヤメ。明日帰ろう」といい出した。その上、信介は「麻雀やったら、体力が回復するんだよ」と訳のわからないこともほざいていた。
翌朝、冷静さをとりもどした麻雀野郎たちは、何ごともなかったかのように練習に参加した。が、練習が終わると信介は危ない行動に出た。顧問が近くにいるにもかかわらず、ロビーのゲーム麻雀をやりだしたのだ。そこまでくると、ただの強がりにしか見えなかった、と共犯者。
麻雀をやらないキャプテンの奥原慎平はそのことに怒った。その日練習試合が組まれていたからだ。
「彼らが麻雀をやっていて、顧問に見つかったから、こっちから『お前ら、今日はなしな』という感じでいった。公式戦ではなくて練習試合でしたけど、勝てそうな試合を落としたのが、おれには気に食わなかったです。ごついやつばっか、出場停止だったから」
当たりの強いフランカー
二〇〇〇年二月六日、麻布高校ラグビー部は僅差であったが、都立東高校に勝って、久しぶりに勝利の味をかみしめた。