信介は、「二、三人に掴まえられてんのにそれを引きずって走っていく」(渡慶次道隆)ようなプレーを見せた。柴田憲一は、息子の出る試合を一度は見てみたいとこの日、足を運んでいる。

「麻布はチームとして意外と結束していたので、あのくらいのレベルのチームとだったら、そこそこ勝ったり負けたりする力はあるという印象を受けました。それで、七番(注・信介がつけていたナンバー)と十二番、それから十五番かな、かなり目立った選手がポイントポイントでいたんですよ、あの試合には。八番でキャプテンをやっていた子もそうでした。七番のフランカー、十二番のセンター、十五番のフルバック、ナンバー八が活躍したチームでした。プレーを遠くから見ていて、富久君は動きの際立った選手の一人だったという印象です。ラグビーでは、フランカーが活躍できるチームは強いんです。七番というのはキーポイント。ラグビーは人に当たる際の思い切りだとか、一瞬の抜けるスピードだとか、そういうものが要求されますから、やっぱり人当たりが強くて、ガッツがないと駄目です。あれぐらいのレベルだと、瞬間的に当たって抜ける、という力があればそこそこいける。

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