親の世代として、信介をこんなふうに捉える。
「いろんな話を聞いてますと、大変なガッツがあるというか、根性がある。ボクシングのトレーニングのために友だちの家から自宅まで走って帰ってくるだとか、そういうことを苦にしない。だから、そういうものがプレーに出たりだとか、あるいはチームに浸透するだとか、いい影響を与えてたんじゃないかなという気がしますけどね。いまどきの高校生でそういうことをやっているのがいるのかな、という感じです。それにラグビー部の集合写真を見ると、通常みんなで写ると正面をみているのに、ちょっと横を向いている。ぼくらの学生時代にも少しみんなとポーズを違えて写るということがありましたけど、ああいうちょっと硬派な印象を受けましたね。多分そんな気質の人ではないですか」
信介がサッカーを好きだったように、ラグビーが好きだったかというと疑問が残る。もっともラグビーという競技そのものがわかっていなかったのだから、この比較は成り立ちようがないのかもしれない。だが、ラグビーを成り立たせているある部分は、紛うことなく信介の好みに合っていた。