そうやってリアルな自分を取り戻していたのかもしれなかった。
しかし負けると、冷静な自分を取り戻し、素直に反省した。
「試合が終わった後に、帰りの電車の中で、『あんときこうすればよかった』とか『こういうふうにやって、こういうふうにやればよかった』って、結構話を聞かされました。そういうことが口をついて出るというのは、反省点だとかを彼自身が見えてるところがあったからだと思うんですよ。『次に同じ相手とやったらここは気をつけなきゃいけないな』とか、『今度はこうやって少しでもポイントを上げよう』とか、そういう意欲というものがあるから帰りの電車の中でそういう話が出るんだと思うんですよね。逆に負けてもあっさりしている子も結構いるんです。だからそういう子に比べるとボクシングにかける情熱というものは、すごく伝わってきましたね」(平戸正幹)
脱臼癖
ボクシングへの情熱は誰が見てもすごいものがあったが、克服しなければならない身体的な問題も抱えていた。右肩の脱臼癖とスタミナ不足。