泣いて嫌がった勉強
スポーツだけではなく、信介は近くの鶴が丘町内会館で開かれていた公文式学習塾に通い、算数と国語を勉強している。小学校に入ったときに自分の名前が書けないと落ちこぼれる、という話を聞きつけた両親が、心配して通わせたのだ。両親が信介に何かを強制してやらせることはまったくといっていいほどなかったが、逆にいえば信介は自分で自分のやりたいことを両親に伝えて自分でやる手の掛からない子どもであったが、このときだけは違っている。知佳も一緒だった。
「信ちゃんは行くとすぐ終わらせるんですけど、知佳はいつも最後まで教室でダラダラとやっていました。で、信ちゃんは終わったら隣が公園だから、そこで遊んでいるんです。知佳が終わるのは、もう教室閉めるから家に帰ってやりなさいっていう、追い出される状態のとき。そのとき、信ちゃんはもうひと遊びして、知佳をからかうという状態。頭はいいわ、スポーツはできるわ」(合田幸江)