たとえば、ヴェルディ―の試験に付き添って行った邦彦が、テスト前のウォーミングアップをどんなに勧めても、いっかなやろうとはしなかった。
そんなことを考え合わせると、サッカー事件は最後の子どもっぽさの表れかもしれなかった。

大人で子どもの悪ガキ


 信介は学校の友人たちには絶大な信頼を寄せられていた。六年生のとき同じクラスだった山田達郎と塚越将司はこう語る。
山田 富久は面倒見がいいというか……。

塚越 自己中(注・自己中心)だけどみたいな……。

山田 面倒見てくれるというか。

塚越 なんかこう、おれらがついて行っちゃうみたいな。

山田 うまいこというね。富久の魅力は生き方かな。

塚越 そういうことになるわな。

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