私はたまたま新横浜でKコースを日曜日に担当しておりました。これは六年生から始まるんですけど、麻布とか筑駒とか開成あたりを目指すお子さん方が日曜テストはそのコースを取る。で、特別コースが始まっても日曜日だけは普通の子どもたちと同じテストを受けて、その後K講習というのを新横浜教室で受けていました。印象に残っているのは、授業中結構できるお子さんというのはギャーギャー、いいたがるんですけど、彼にはそれがないんです。でも、当てるときちっと答えてくれる。そこが違うんですね。他の子たちは、当時威勢のいい子たちは当てて欲しいから、立ち上がって手を挙げるんですけど、彼はそれをやらない。黙って手を挙げるだけで」(四谷大塚教務主任 菅井勝)

 クールな信介は、講師たちには、大人という印象を強く与えていた。
「かなりの子どもたちは子どもっぽさが残っていたんですが、彼の場合はちょっと違っていた。自分で一線を画していて、そういう連中と下手にワーワー騒ぐことはしなかった。寡黙な男でした。ただし、仲間から外れているかというとぜんぜんそうではないですね。逆にいえば仲間からものすごく信頼のあったお子さん。

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