いわれているところの、親子受験である。だが、富久家は、そのこととまったく無縁であった。
特別コースの仲間たち
特別コースの先生たちはそれぞれが個性に溢れ、授業に工夫を凝らし、それをさらに楽しくさせるためにゲーム的な要素を加え、面白おかしく教材を作った。理科の先生の授業は創意に満ちていた。実験は当然のことながら、男女一緒に勉強させることもあった。国語の時間は班別対抗で授業が進められたり、感想文をまとめて文集を作ったり、朗読会をしたり、映画鑑賞に行ったりしている。社会では国会議事堂の見学にいっている。算数の先生には、信介は中学二年のころまで数学を習いに行った。
子どもたちは魅了され、優秀であるがゆえにどんなに難しい知識でもどんどん吸収して行った。
「結局勉強は楽しくやらなくてはいけない。苦痛じゃなくて、結果的によかったな、といえるものがないと、この厳しい状況は乗り越えられないだろうと私は思うんですね。はっきりいって小学生ではありますけども、パッと見て先生に人間らしさというか、魅力がないと、やっぱり続かないだろうと思いますね、