この年サッカー部に入った新入生は、五、六十人にも及んだ。その中でも信介の身体は飛び抜けて大きく、みんなの度肝を抜く。身長百六十七・七センチ、体重五十六キロ、平均より身長で十五・九センチ高く、体重で十二キロ重かった。「デケェー」。ほとんどの連中がそう思っている。しかも小学校五年のときから筋力トレーニングで鍛えた身体は筋肉質で、目つきも鋭かった。精悍な顔つき。それに自分から人に話しかけるタイプからほど遠い信介は、最初怖いという印象を同期生たちに与えた。先輩だと思い込み、敬語で話しかけたものもいた。しかし、日が経ち、少しずつ話すようになり、打ち解けてくると、その印象はどこかに消し飛んでいった。「いいやつなんだ」、ほとんどの連中がそう思った。
サッカー部は月曜、水曜、土曜が練習日。私はある日、見学させてもらうためにグランドを訪ねた。サッカー部はアメリカンフットボール部とグランドを半分ずつ使って練習していた。この日は前日、高校二年が試合に負けたため代替わりをするという日で、練習しているのは高校一年のみ。準備体操から始まって、練習の仕上げのミニゲームまで、練習時間は二時間三十分ぐらい。下校時間の五時半になんなんとしている。

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