三人の弔辞は、信介の懸命な生き方、友人としての素晴らしさを心底から列席者に伝えた。式場は涙にくれた。それを受けて邦彦は息子に呼びかけた。

「信介、酷いよな。いきなり後ろから脳天かち割られて、顔の半分吹っ飛ばされてないんだもんな。無念だよな、サッカーだったらレッドカードじゃなくて、永久追放だよ。残念で、無念で、お前の生命がほんの一、二秒で一瞬のうちに吹っ飛んだんだ。悔しくて、怒りも何も、ただ悲しいだけだ。最近はお前とは喧嘩ばかりだったけど、お前は学校のことも、ボクシングのことも、サッカーやラグビーのことも何にも話してくれないから、外のことは何にもわからなかった。だけど、お前が悪いんじゃないよな、いきなりだもんな。お前のすさまじい減量だとか、目標を決めてお前があらゆる努力を払って、自分をコントロールしていたことを父さんはよく知っている。すごかったから。それでギリギリにやせ細るまで減量して、リングに上がってぶん殴られたんじゃ合わないよな。何でお前はスポーツでギリギリまで自分を追い込まなきゃいけなかったんだ。

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