父さんは初めのころボクシングに対する理解がちょっと足りなかった。で、冗談をいうと、『父さんはおれのことを何もわかっていない』って、怒ったよな。ごめんな。お前がそんなにまでして打ち込んでいたんなら、お前がいってくれたら、おれはわかっただろうに。信介、こんなに素晴らしい友だちを持っていて、すごいよな。大橋ジムの会長やトレーナー、小学校のサッカーの仲間、麻布のサッカーやラグビー部の仲間。おれは話してみて初めて知ったことが多いんだけど、こんなにお前が男らしい、おれなんぞをはるかに越えた男だったということがわかった。お前はおれより本物の男だったかもしれない。お前がやりたかったことは机の上での勉強じゃなくて、お前の全身全霊を打ち込んでいける何かだったんだよな。それを今ごろわかったってしょうがないんだけど、お前が生きているうちにわかれば、たまには勉強したら、なんてバカなこといわずに済んだんだ。そんな暇なかったんだよな、お前には。おれは、そこまでお前が一所懸命に生きたということ、こんなにもすばらしい友だちをたくさん持ったということをすごく誇りに思っているし、十七歳と八ヶ月だけど、おまえという息子と巡り合えたことを幸せだと思っている。ありがとう。