騎馬戦の大将戦が始まろうとしていた。団体戦で決着がつかなかったからだ。対戦相手は横浜組の一人、境野翔。中学・高校、千八百名の全校生徒が見守る中での一騎打ちである。
二人の体格はほぼ同じ、信介はもう大きいとはいえなくなっていた。
「おれは大将じゃなかったんですけど、うちの大将が気絶かなんかしちゃって、おれが代表で出ることになった。で、一応おれの負けなんですけど、審判のせいですね。そういうと、あいつにまた文句いわれそうだけど、おれから見ると審判が一度おれの勝ちといっておきながら、実は勝負ついてないよみたいなことをいいだして、その間にやられちゃったような感じなんです」(境野翔)
判定は微妙だったが、とにかく信介は勝った。同じクラスだった反田篤志も印象深く憶えている。
「騎馬戦の大将をあいつがやりました。いろいろ作戦を立てたりしてやっていましたね。一回戦のときにうちらと同じくらいの力のチームと戦って、最後に大将が突っ込んで、同体くらいで落ちたんですよ。それで大将戦ということになった、一対一で。で、富久と境野がガーッとやって、かなりすごかったです。