落とした方が勝ちですから」
麻布の運動会は縦割りでチームが決まる。つまり中一から高三までの、たとえば一組ならすべての学年の一組が同じチームというわけである。だから、クラス別に六チームで競い合うことになる。
運動会を仕切るのは、全校生徒の選挙で選ばれた実行委員長である。その指揮のもと、すべてが生徒の自主運営で行われるのだ。文化祭の実行委員長も同じ決め方である。麻布精神がこの二つの催しで最大限に具現化されるといっても過言ではない。実行委員長を目指して入学してくる生徒もいるくらいである。
信介は運動会になると目立ったし、自身も張り切った。
「リレーで、すっげー速いなと思って。中一のときはやばかった。ダントツというか」(同期生 小川敏寛)
「運動会も騎馬戦とか、結構サボるやつとかいるんですよ、そういうやつらに『あいつらなんなんだ』といってみたり。作戦考えるときも必死で、ああだこうだいって、そこまで負けたくないのかなって思うくらい」(平野至海)