そうしたら先生の採点が結構厳しくて、答えはあってるんですけど、やり方に問題があってマイナスされている。やり方が怠慢だとか書かれていた。そのおかげで九十八点かなんかで、百点じゃなかった。彼は中一の時点で、数学は結構進んでいたらしいから、多分、自分でやっていたと思うんですけど」(新子潤一郎)
こんなことはあったが、まったく勉強しない信介の成績がいいわけがない。それでも成績は中ぐらいだった。
「学校的にもどうしても高二ぐらいまでは遊んじゃう」(川岸亮造)のが大半だが、入学以来勉学に励んでいる人たちは当然いる。信介を初め勉強していない連中は、その人たちの恩恵を受けたのである。怠惰な大学生のやり方とまるっきり同じである。試験の一週間前ぐらいからノートを借り、コピーをとる。テストの時期になると近くのコンビニは休み時間になると相当に混む。だから、授業中に行くというのが、信介のやり方だった。小さいときから心配性だった信介は、同じ教科で何人もの人からノートを借り、コピーしまくった。ノートを貸すことを拒む人はいなかった。カンニングペーパーを作ることもなかったわけではない。