第七章 力あるものへの傾倒そしてこだわり 


「トミは割と、こいつは強いか弱いかというのをまず見極めてから、その次にそういう世界に住んでいるのか住んでいないのかというので人を見ていたと思うんですよ。だから、おれの場合だと、おれはまず弱いと判断されていて、それがトミから見えるときがあると、ムッとすることはあるんですが、実際に弱いからしょうがない。で、おれが友だちのいうデタラメな話を素直に信じたときがあって、その場にいたトミがすかさず、そいつに、『哲は純粋なんだから、騙しちゃ駄目だろう』っていってくれた。そういうふうにおれを捉えてくれているのか、と思いましたね。捉え方が多元的なんですよ。強いってことにこだわりを持っていたと思うんだけど、そういう強い弱いという世界じゃないところに生きようとする人がいる、そういう世界がある、ということをちゃんと認識していた人だと思う。他の世界を認めないとか、他人が敵か味方かという狭い考えじゃなくて、もっと広い立場に立っている人だと、おれは思ってたんですけど。真っ直ぐな生き方というか、世界を認めつつ、自分は強い弱いの世界で生きるんだみたいなところがあるから、自分のこだわりは崩さない。

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