第八章 やっと見つけた麻布での居場所


 一九九九年、信介高校一年の正月。ラグビー部のキャプテン奥原慎平から年賀状が届いた。それにはこう書かれていた。「祝 ラグビー部入部」。信介は返事を書いた。「ラグビー部って何?」。
 信介は高校一年の四月にサッカー部を辞めてから、ボクシングはやっていたものの、学校ではどのクラブにも属していなかった。学校でスポーツをやるといえば、村井隼がサッカー部を辞めた連中を集めてやる、遊びのサッカー試合に参加するぐらいだった。遊びとはいえ、さすがに好きなサッカーをやっているときの信介はうれしそうだった。

 年賀状に心を動かされたのかどうか分からないが、同じくサッカー部を辞めていた、中村亮介、境野翔とともにラグビー部に入る。高校一年も終わりに近づいたころのことである。
「しばらく、あいつはボクシングだけやってたんですけど、冬休みとかずっと暇だったんで、運動部に入った方がいいかなと。で、ラグビー部に入った。でも、暴れられれば、ラグビーでなくても、なんでもよかったと思いますよ、あいつは」(境野翔)

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