で、確かに学年行事を欠席する子もいますので、絶対出ろとはいえないし、どうしてもというならと、賛成したこともありました」
十オンスのグローブをつけ、ヘッドギアをつけて戦うアマチュアボクシングだが、年間に何件か事故が起きている。プロ、アマを問わず危険と隣り合わせなのがボクシングというスポーツである。校長である根岸隆尾は、許可した理由をこう説明する。
「そういうスポーツ関係だとか、ほかにもいろいろありますけども、本人が情熱をもって打ち込んでいるのであれば、学外でいろんな活動をすることもひとつの立派な生き方だし、それが学校生活を豊かにすればいい。学園としては応援したい、と。そういう面から考えています。ただ危険をともなう場合、最終的には学園に責任がありますが、それは覚悟の上です。ですから、どのようなことであれ、彼らがしっかり打ち込んでいればいい」
こうした学校側の姿勢があって初めて、信介は念願のボクシングの試合に出場することができるようになった。試合用のユニホームも自前で作った、胸に「麻布」とネームを入れて。