そうでない一面は裏であったかもしれませんけど、指導者の立場としてみればそれは覚悟の上ですから。昔はたとえば道理に適っているかどうかということではなく、とにかく先輩だとか指導者のいうことは絶対だというかたちで、たとえ半信半疑であってもとりあえずやって、そのうちに、あ、あのときこういうふうにいっていたのは、こういうことだったのかって後で気づいて、やっててよかったな、というふうな気づき方をすることが多々あったと思うんです。でも、今の子どもたちというのは先に理屈がわからないと絶対やらない。『何でこれやるんですか。何でこれやる必要があるんですか』と、まず聞いてきます。だからその辺を上手く噛み砕いて説明して相手に理解を求めないといけない。みんなそうですね今は。だから『こういう場合はどうするんですか。ああいう場合はどうするんですか』というように判断を他人に委ねているところが結構多い。自分から『よし、じゃあ、ああしてやろう、こうしてやろう』と考えてやるというよりは、答えをすぐ望んでしまうところがあります。それは信介君にも正直なところありました。彼は頭がよく、賢いですから、『私ならばこういうふうにしようと思うんですけども』

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