でも、自分もインナーズマッスルの強化は、肩が外れたとき必要なんじゃないかという話はしたんですよ。以前私も肩が上がらなくなったときに病院で、インナーズマッスルを鍛えるようにいわれたんで。その方法は、たとえば軽い負荷のアレーを十五度ぐらいまで上げて、そこで静止するというものです。十五度以上になるとアウターマッスルのほうの筋力が使われるらしいんです。この方法は筋力に負荷がかかっているという違和感がぜんぜんないから、こんなのをやっていてもほんとに意味あるのか、と思うほどで、大半の人は止めちゃうらしいんです。でも、彼は一度医者にいって指導を受けて来ているらしく、『最後の試合の後もしばらくは肩を外さないようにするためのインナーズマッスルの強化にあたる』っていってまして、実際にやってたんです。それと、たまには休息も必要なんだということはよくいいました」(平戸正幹)

 事実、信介は麻布でスポーツ医の指導を受けている。トレーニングを続けても直るという保証はないが、それでもインターハイ出場という目標を持っていた信介は、地味な努力を重ねていた。

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