スタミナ不足


 スタミナはなかった。減量にも苦しんでいる。ラーメンが好きで食べ歩いていることは知らなかったという大橋は、しかし、食生活に問題があることをさすがに見抜いている。
「一所懸命練習するんだけど、スタミナがないんですよ、富久は。三ラウンドやると、いつも二ラウンドぐらいでヘロヘロになっている。だからロードワークの仕方と、全力で三分間集中して練習をやれということと、あとは、食事ですね。多分富久のスタミナのなくなり方は、おそらくほとんど栄養のないものを食べて、無理な減量をしてたんですね。もっと科学的にというか、もっと理に適った減量をした方がいいっていいましたけどね。高タンパク低脂肪のものをとりながら、減量をしたほうがいいって」

 スタミナをつける上で、朝のロードワークは必要不可欠といわれるほど、大事なトレーニングである。鶏が先か卵が先かという話になってしまうが、信介は、短距離は速かったものの、長距離ははっきり苦手にしていた。スタミナがなかったからだが、走らなければスタミナはつかない。長距離嫌いを克服できたかどうか分からないが、ともあれ、高校一年のときには、かなりの距離を走って、

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