だが、一週間経てば、かなりの部分良くなる。両親が、アトピーについていろいろと調べた結果の選択だった。アトピーに限らず、両親は悪いものであればそれを除去しようという方向に、いいものであれば環境を整え、よりよくしようとできる限りのことをして、子どもに対するという姿勢を貫いている。信介はこの年の幼稚園のクロンボ大会で優勝した。
この海への旅行は、毎年行く場所を変えて、信介が中学二年生のときまで続いた。国内旅行だとかえって費用がかさむので、小学校四年のときから、ハワイ、サイパンなどに出かけるようになる。最後の家族旅行は沖縄だった。旅先では、「何かをするときには家族一緒か、それぞれ別か、という感じで、兄貴と二人で何かをして遊ぶということはなかった」(富久恭介)。タイプのまったく異なるこの兄弟ははっきりいって仲がよくなかった。
「ぼくも身体は大きかったけど、たとえばぼくもプールはやったにしても、それぞれ同じことをやっているという意識はなかった。趣味を同じにしようという感じじゃない。昔はともかく仲が悪かった、それだけは確かなんですけど。