「ちょっと臆病なところもあったんでしょうかね。ミニ動物園というのがあって、小さな動物を連れて、幼稚園に来てくれる。そのとき割と男の子なんか平気でヤギに触ったりとかするんですけど、信介君はぜんぜん触ってなかったですね。鼓笛隊に積極的に加わろうとする反面、初めてのことには臆病なのかなって思った気がします」(吉村万紀子)
節子も年中組のとき、信介がこわごわひよこを抱いていたのを目撃している。動物にはほとんど興味を示さなかったが、小学校六年のとき飼い始めたシーズー種の雌犬に関しては例外だった。このことについてはまた触れる。
いずれにしろ、信介は幼稚園時代、とくに目立ったというほどではないが、小学校、中学校、高校を通じてはっきりと顕在化してくる、能力、性格、性向といったものの萌芽をすでに見せている。
「いまの子どもたちと信介君の年代とは、ものすごく違いますね。我慢ができなくなったし、手がかかります。自由奔放に家で育てられて来ているのかなと思うんですけど、放任なんでしょうかね。そういうことは親にいってもなかなか伝わらないのですが、