「富久はリレーのアンカーだったんです。それで、うちは八位だったのを、最後の直線で六人抜いて二位になったんです。あのときはすごいカッコ良かったですね。小学校が集まって開かれる大会で、結構モテていましたよ、富久」(元別所小学校同期生 天間悠介)
「このとき私が引率していましたので、帰りの電車の中で、賞状上げたい、優勝カップ上げたいみたいなことを話したんです。そうしたら周りに他の生徒もいるからかもしれないですけど、あの子は冷静で、『ぼく、頑張ったんだ』ともいわないし、有頂天にもならない。静かに私の話を聞いていて、黙って、ちょっとにこっとするぐらいで、ほんとにそういう落ち着いた子だった」(元別所小学校二年担任 上田美奈子)
信介自身が書いた作文もある。
「みんなが踊っている南区の演技『南の風にのせて』が終わった。みんなの心が一つにまとまっていて、すばらしい演技だった。しかしぼくの心はそれどころではなかった。まさか八千六百人もの人の目が、リレーの選手に集まるなんて夢にも思わなかったからだ。時間がたつにつれ緊張が高まっていく。