『次は、男子四百メートルリレーです。』
 ついにぼくの出番がきた。ぼく達のチームは一組目だから、最初に走らなければならない。深呼吸して緊張をゆるめた。
 そしてピストルの音が鳴った。舟山君、川内君、久保田君とついで三位でぼくにバトンが渡った。ぼくは四コースを抜き、八コースの井土ヶ谷小学校をぎりぎりで抜かし一位になった。走り終わるとうれしいよりも、ほっとする気持ちが先にきた。一位になれなければ優勝はできないからだ。予選は五位で通過した。
 いよいよ特別レースの時がきた。ぼくは予選よりも緊張した。船山くんがスタートし、川内君もがんばって走った。久保田君がぼくにバトンを渡した。バトンパスは完ぺきだった。しかしもらった時は八位でビリだった。ぼくはがんばって走った。一人、二人、三人……と六人抜かし、一位には届かなかったが、二位になった。優勝できなかったのが一番悔しかった。だけど六人抜かし二位になり気持ちよかった。なによりも何万人いる横浜市の中で、上位に着けたというのが満足いくことだった。でもいくら六人抜かして二位になっても優勝カップはもらえない。

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