学校のガラスを割ったのは六年生のときであるが、そんなことは予想もしていなかったのか、五年生のときに取って付けたような生真面目な作文を書いている。題名は「学校生活」。
「学校でいけない行動をしてはならない。いけない行動とは何かというと自分の行動に自覚をもっていない行動のことだ。自分の行動に自覚をもっていれば、かべがこわれたり、ガラスがわれたりすることなんてないはずだ。ぼくもむしゃくしゃすると物に八つ当たりするが、あとから考えてみれば、自分がどれほどバカだったかがわかる。
そして、かべをこわしたり、ガラスをわったりしたときに自分はしてないみたいにいうがそれはまちがいである。自分がやったと素直にいえばいいと思う。
このように、学校生活では自覚をもった行動をしなくてはならない。また、いい分けをするのはよくないと思う。」
表現はかなり子どもっぽいが、自覚して行動する、いい訳をしない、など、信介の美学がはしなくも出ている。後に高校の倫理の授業で提出した『茶の本』の主張と通底する部分もある。