Jリーグのジュニアユースに落ちる
信介は五年生ごろから筋力トレーニングを始めている。もちろんサッカーのためである。五、六年生というと中学受験のために勉強に励んでいた時期。親の望む通り、信介は文武両方のトレーニングにひたすら邁進していた。
「どうせ長続きしないと思っていたけど、毎日、腹筋三百回とか決めてやっている、夜に。で、それならということで腹筋台を買ってやった。そうやって人を巻き込むのが圧倒的に上手いんだよ、やつは」
と邦彦。サッカーにのめり込み、いささか自信をもっていた信介は、中学の受験時期だというのに、Jリーグのジュニアユースの試験を受ける。
「『おい角、一緒にフリューゲルスのジュニアユース入ろうぜ』といわれて、『マジかよ、おれ入れるわけねぇよ』と思ったんですけど、菅田の超遠くまで受けに行ったんですよ。それまで超練習して。その朝、TFと天間と富久とおれの四人で集合して、フリューゲルスのグランドまで行って、そのとき運悪く雨だったんです。