でも、それほどまでに頭がいいとは気づかないでいました」(角洋平)

「富久は、根はまじめだったというか、そうとう勉強もできましたし。みんなが解けない問題もパッと解いたり、かなわないというか。算数とかでも図形なんかぱっと見ただけでわかっちゃうんですよ。それはちょっとくやしかった。何でもすぐできちゃうんで腕っ節も強くて、足も速くて、頭も良くて、それで結構カッコ良かったから、みんな慕っていましたね。リーダー的な存在というか、みんなに慕われていたという感じで。面倒見がいいというか。そういうやつだから、みんなにやさしいんです。いじめなんかは絶対しないし。憎めないところがありました、バカもやっていましたけど。ずっと会っていなくても、ぼくらが行った南が丘中学校でも足が速いという話題になると別所小学校出身のやつらは、富久のことをみんな話していました」(天間悠介)

　女の子たちにとっては、悪ガキであった。ほとんど女の子とは口をきかなかったから、遠目にはそう映っても仕方のないことである。