上田 二年のクラスは、スポーツ万能な子が多かったので、体育の授業のときはすごく燃える。ハンドベースボールでも、キックベースボールでも、一所懸命やるから負けると、悔し泣きをする子がいる。黙って涙をこぼすような子がいる。で、そのときに、私は今日は負けたけど仕方ないねって、話しながら宥めるんですけど、信介君はその姿を見ていて、『悔しくて泣いているんだろうけど、勝負の世界というのがあるんだよ』って、教えて上げているような、冷静な目でじっと見ている。富久君もそうだけど、スポーツ好きな子たちというのはお互い刺激を受け合って、レベルがすごく上がる。ほんとにスポーツが好きで、ちょっと時間があると、何かをやっていた。
堺井 不思議な子というか、ガーッと私たちの方に来るんじゃなくて、暖かく見ていてくれるような感じでしたね。横浜博の遠足に行って、帰ってきてから描いた絵を憶えてるんです。みんながスクリーンを見ている絵ですけど、綺麗な色で全員を細かく描いていました。で、一年生というと画面に二、三人ぐらいを大きく描きますけど、何というのか、きちんと自分の思ったことを表現するという感じがありました。