クラスはレベル別に編成されていたが、信介は四年生から六年生の六月まで常にトップのクラスに在籍していた。
 四谷大塚の教科書は四年生では「ジュニア予習シリーズ」と呼ばれ、上下二巻。五、六年生では「予習シリーズ」一から四までがあり、一と二を五年生で、三、四を六年で履修するが、三までに中学受験に必要な基本的な内容を済ませ、四はまとめ。シリーズは週単位でカリキュラムが組まれ、土曜テスト(四年)、日曜テストは(五、六年)、そこから出題される。
 テストは国語、算数が三十分、社会、理科が二十分。中総合と呼ばれる五回に一度行われるテストと大総合テストは算数、国語が五十分、社会、理科が三十五分である。分量が多いため、慣れていないとこなすことはなかなか難しい。毎週テストを受けることそのものが、それをこなせるようになるための訓練のひとつでもある。

 六年生の五月の連休。信介は緊張していた。四谷大塚の特別コースの選抜試験がいよいよ行われるのだ。いつも通りにできれば何の問題もない。麻布・栄光特別コースに受かるかどうかは、一生を左右するとまではいわないものの、信介はかなりのプレッシャー

目次
- 93 -